【保護者向けコラム】「私の育て方が悪かったの?」と思ったあなたへ|不登校と親の責任について考える
「私の育て方が悪かったの?」と思ったあなたへ|不登校と親の責任について考える

「私がもっと○○していれば…」と自分を責めていませんか?
お子さんが学校へ行けなくなったとき、多くの保護者が最初に向けてしまう矢印があります。それは、子どもではなく「自分自身」です。
「もっと早く気づいてあげればよかった。」
「もっと厳しく育てるべきだったのかな。」
「甘やかしすぎたのかもしれない。」
「仕事ばかりで子どもと向き合えていなかった。」
実際に東京大志学園へ相談に来られる保護者の方からも、このような言葉を伺うことがあります。
ですが、結論からお伝えすると、不登校は一つの原因だけで起こるものではありません。
学校での人間関係、勉強への不安、環境の変化、発達特性、心身の疲れなど、さまざまな要因が重なり合って生じることがほとんどです。「親の育て方だけ」が原因で不登校になることは、まずありません。
まずは、「私が悪かったのでは」と自分を責め続ける気持ちを少しだけ手放してみてください。

心理学で考える「愛着理論」と親子関係
心理学には「愛着理論(アタッチメント理論)」という考え方があります。
愛着とは、子どもが「困ったときには助けてもらえる」「自分には安心して戻れる場所がある」と感じられる心の土台のことです。
ここで大切なのは、「完璧な親」である必要はないということです。
発達心理学者のドナルド・ウィニコットは、「ほどよい親(Good Enough Mother)」という考え方を提唱しました。子どもにとって必要なのは、100点満点の親ではなく、失敗しながらも子どもの気持ちに寄り添い、必要なときに支えようとする存在だとされています。
実際、子育ての中では、つい強く言ってしまったり、余裕がなくなったりする日もあります。それはどの家庭にもあることです。
大切なのは、「失敗しないこと」ではなく、その後に「さっきは言い過ぎたね」「あなたのことが大切だから心配だったんだよ」と関係を修復していくことです。
親子の信頼関係は、一度の言葉や出来事で決まるものではありません。日々の小さな積み重ねによって育まれていきます。
子どもに必要なのは「原因探し」より「安心できる場所」
不登校になると、「何が原因だったのだろう」と答えを探したくなります。
もちろん、背景を理解することは大切です。しかし、子ども自身も「なぜ学校へ行けないのか分からない」と感じていることは少なくありません。
そんなときに、「原因を話して」「理由を教えて」と求め続けると、子どもは「答えられない自分はダメなんだ」と感じてしまうことがあります。
まず必要なのは、「学校へ行けるようになること」ではなく、「家は安心できる場所だ」と感じられることです。
安心できる場所があるからこそ、子どもは少しずつ自分の気持ちを整理し、次の一歩を考えられるようになります。
ワンポイント心理学
「愛着」は今からでも育て直すことができます
愛着というと、「幼い頃に決まるもの」と思われがちですが、実はそうではありません。
安心できる人との関わりを積み重ねることで、子どもの安心感や自己肯定感は何歳からでも育まれていくことが分かっています。
「今日は一緒にご飯を食べられた。」
「少しだけ笑顔が見られた。」
「『おはよう』と返事をしてくれた。」
そんな何気ない時間も、親子の信頼関係を育てる大切な一歩です。
東京大志学園から伝えたいこと
私たちは、保護者面談で「私の育て方が悪かったのでしょうか」と涙を流される方とお会いすることがあります。
そのたびにお伝えしたいのは、「ここまで一人で頑張ってこられたのですね」ということです。
子どもを思うからこそ悩み、自分を責めてしまう。それは、お子さんを大切に思っている証でもあります。
だからこそ、保護者の方も一人で抱え込まないでください。
子どもを支えるためには、まず保護者自身が安心して話せる場所を持つことも大切です。
東京大志学園では、お子さんだけでなく、保護者の皆さんの気持ちにも寄り添いながら、一緒に「これから」を考えていきたいと思っています。
