【保護者向けコラム】“ちょうどいい距離”が子どもを支える

「“ちょうどいい距離”が子どもを支える」
~アタッチメント理論から考える親子関係~
「うちの子、全然話してくれません」
「つい口出ししてしまって、ぶつかってしまいます…」
不登校のお子さんを支える保護者の方の中には、「どれくらい関わっていいのか」という悩みを持つ方がたくさんいらっしゃいます。
心配だから近づきたい。でも、うっとうしがられる。
そっとしておくと距離があく気がして不安…。
そんなジレンマを感じたことはありませんか?
この“距離感”の悩みを考えるヒントになるのが、「アタッチメント理論(愛着理論)」です。
心理学者ジョン・ボウルビィが提唱したアタッチメント理論によると、
人は小さい頃に「この人は自分の味方だ」「安心できる」と思える存在(養育者)と安定した関係を築くことで、他人や世界を信じる土台をつくっていきます。
そして、面白いことに、子どもは「いつでも戻れる基地(安心基地)」があるときほど、外の世界に挑戦しやすくなるといわれています。
つまり、「過干渉になりすぎず、でも必要なときには支えてくれる存在」こそが、子どもの回復や自立に大きく関わるのです。
ポイントは次の3つです。
✔ 1)子どもが発信してきたときに応える
→ 無理に引き出そうとせず、子どもが話してきたときに「ちゃんと聞く」姿勢が大切です。
✔ 2)「見守ってるよ」のメッセージを届ける
→ 毎朝のあいさつや、食事を出すなど、言葉ではなく行動での関わりが「関心を向けている」という安心感につながります。
✔ 3)保護者自身の“安心基地”を持つ
→ 保護者の方が1人で抱え込まず、相談できる場(支援機関・家族・友人)を持つこともとても大切です。
「ちょっと遠くにいるけど、ちゃんと見てるよ」
そんな関わりが、子どもにとっての“安心の基地”になります。
ずっと隣にいなくても、子どもは感じ取っています。
「何かあったら、あの人がいる」
その感覚があるからこそ、子どもは自分のペースで少しずつ前に進もうとするのです。
次回は「変化には“段階”がある」ことをテーマに、不登校からの回復プロセスに対する保護者の焦りをやわらげるコラムをご提案予定です。
続けてご希望の場合、次も執筆いたします。どうぞお気軽にお申し付けください。
