【保護者向けコラム】ゲームばかりしている子ども、本当に心配すべきことは?|ゲームとの付き合い方を考える
ゲームばかりしている子ども、本当に心配すべきことは?|ゲームとの付き合い方を考える

「ゲームばかり…」と不安になる保護者へ
不登校や行き渋りが続くと、「朝から晩までゲームばかりしている」「声をかけても返事をしない」「このままゲーム依存になってしまうのでは」と心配になる保護者は少なくありません。
実際、東京大志学園の相談でも、「ゲームをやめさせた方がいいでしょうか?」「時間を決めても守れません」というご相談をよくいただきます。
もちろん、生活リズムが崩れたり、睡眠や食事に影響が出たりするほどゲーム中心の生活になっている場合は、注意が必要です。しかし、ゲームをしていることだけを見て「ゲームが不登校の原因だ」と考えるのは少し早いかもしれません。
大切なのは、「ゲームをしている」という行動ではなく、「なぜゲームに向かっているのか」という背景に目を向けることです。
心理学の「自己決定理論」から考える子どもの気持ち
心理学には、「自己決定理論(Self-Determination Theory)」という考え方があります。
この理論では、人が意欲的に行動するためには、次の3つの欲求が満たされることが大切だとされています。
- 自分で選べているという感覚(自律性)
- できた、成長したと感じられること(有能感)
- 誰かとつながっているという安心感(関係性)
学校生活では、この3つが満たされなくなることがあります。
「勉強についていけない」
「友達とうまくいかない」
「先生に怒られることが多い」
そんな経験が重なると、学校では自信を失い、「自分はダメなんだ」と感じてしまうことがあります。
一方で、ゲームの世界では、自分で選んで行動し、レベルアップし、仲間と協力することができます。つまり、学校では満たされにくくなってしまった3つの欲求を、ゲームの中で満たそうとしている場合があるのです。
ゲームそのものが悪いというより、「安心できる場所」が今はゲームになっている、と考えると見え方が変わってきます。

ゲームを取り上げる前に考えたいこと
保護者としては、「ゲームをやめれば元の生活に戻るのでは」と思うこともあるでしょう。
しかし、安心できる居場所を急に取り上げられると、子どもはさらに不安やストレスを抱えてしまうことがあります。
まずは、「今日はどんなゲームをしていたの?」「そのゲームのどんなところが楽しいの?」と、ゲームそのものに興味を持ってみるのも一つの方法です。
ゲームの話をきっかけに会話が増えたり、笑顔が見られたりすることもあります。
その上で、
- 一緒に食事をする時間をつくる
- 散歩や買い物に誘ってみる
- 趣味や好きなことを広げる
など、ゲーム以外にも安心できる時間や人とのつながりを少しずつ増やしていくことが大切です。
「ゲームをやめさせる」ことを目標にするのではなく、「ゲーム以外にも安心できる場所を増やす」ことを目指していきましょう。
ワンポイント心理学
子どもは「やる気がない」のではなく、「やる気を出せる環境」が必要です
自己決定理論では、人は「やりなさい」と言われて動くよりも、「自分でやってみたい」と思えたときに力を発揮すると考えられています。
そのため、ゲームの時間だけを減らそうとするよりも、「自分で選べた」「できた」「誰かと楽しかった」という経験を家庭の中で少しずつ増やしていくことが、結果としてゲームとの付き合い方を見直すきっかけになることがあります。
東京大志学園から伝えたいこと
ゲームは、子どもにとって「逃げ場」ではなく、「今の自分を守るための居場所」になっていることがあります。
だからこそ、まず必要なのはゲームを否定することではなく、「どうしてゲームが必要なのか」を理解しようとする姿勢です。
子どもの行動には、必ず理由があります。その理由を一緒に探していくことが、回復への第一歩になります。
東京大志学園では、お子さんの行動だけを見るのではなく、その背景にある気持ちや環境を大切にしながら、一人ひとりに合った支援を行っています。保護者の皆さんも、「ゲームばかりで困っている」と感じたときは、一人で抱え込まず、ぜひ一緒に考えていきましょう。

