【保護者向けコラム】「がんばれ」と言わなくていい?子どもを支える言葉

「がんばれ」と言わなくていい?子どもを支える言葉
子どもがつらそうにしているとき、思わず「がんばれ」と声をかけたくなることはありませんか。わが子を応援したい、元気になってほしいという気持ちから出る言葉です。しかし、不登校などで心が疲れている子どもにとっては、その「がんばれ」が少し重く感じられることもあります。
もちろん、「がんばれ」という言葉そのものが悪いわけではありません。ただ、子どもがすでに精一杯がんばっているときには、「もっとがんばらなければいけないのかな」と感じてしまうことがあります。特に学校に行けない状況にある子どもは、「行けない自分はダメなのではないか」と自分を責めてしまうことも少なくありません。そんなときに大切なのは、努力を求める言葉よりも、安心できる言葉です。
心理学では、人は安心できる環境の中でこそ回復し、次の一歩を踏み出す力が育つと考えられています。これは「安全基地(セーフベース)」という考え方で、信頼できる人がそばにいることで、子どもは少しずつ自信を取り戻していきます。家庭がその安全基地になることは、子どもにとって大きな支えになります。
では、どんな言葉が子どもを支えるのでしょうか。たとえば、「今日はどんな一日だった?」「話したくなったら聞くよ」「家にいてくれてうれしいよ」といった言葉です。これらの言葉には、子どもを評価したり、何かを求めたりする意味はありません。ただ「あなたは大切な存在だよ」というメッセージが込められています。
また、子どもが小さなことをしたときに気づいて声をかけることも大切です。「今日は少し早く起きられたね」「昨日より元気そうだね」といった言葉は、子どもに「自分のことを見てくれている」という安心感を与えます。こうした小さな声かけの積み重ねが、子どもの自己肯定感をゆっくり育てていきます。

保護者の方の中には、「何を言えばいいのかわからない」と悩む方も多いかもしれません。しかし、特別な言葉を用意する必要はありません。大切なのは、子どもの気持ちを受け止めようとする姿勢です。無理に励ますのではなく、「つらかったね」「そう感じることもあるよね」と共感することが、子どもにとって大きな支えになります。
子どもは安心できる場所があると、少しずつ前を向く力を取り戻していきます。「がんばれ」と言わなくても大丈夫です。そばで見守り、子どもの気持ちに寄り添う言葉こそが、回復への大切な一歩につながっていくのです。

参考資料
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
国立教育政策研究所「児童生徒の自己肯定感に関する研究」
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/jikokouteikan.pdf
