【保護者向けコラム】“やる気がない”のではなく、“まだ準備中”なのかもしれません

やる気がない”のではなく、“まだ準備中”なのかもしれません
~行動変容モデルから見る、子どもの変化のプロセス~
「何も動かない、やる気がないように見える」
「ずっとこのままなんじゃないかと不安になる」
そんなふうに感じている保護者の方へ、今日は少し安心できる“見方のレンズ”をご紹介します。
心理学者プロチャスカとディクレメンテは、人が変化するときには「段階」があるという理論を提唱しました。
これは「行動変容モデル」と呼ばれ、健康行動の変化(運動習慣の定着など)をもとに整理されたものですが、不登校支援にも非常に役立つ考え方です。
【行動変容モデル:変化の5段階】
- 無関心期(変わる気がない)
- 関心期(変わりたい気持ちはあるが迷っている)
- 準備期(変わるための準備を始めている)
- 実行期(実際に行動を始める)
- 維持期(行動を続けている)
たとえば、不登校の子どもが「昼夜逆転してゲームばかりしている」ように見えるとき、それは“やる気がない”状態ではなく、まだ「準備期」に入る前の「無関心期」や「関心期」にいるだけかもしれません。
この段階では、「学校に戻りたい」と口に出さなくても、
・保護者の話に耳を傾けている
・登校している夢を見たと話す
・ふと制服のあるクローゼットを見ている
そんな小さな“内面のゆらぎ”が、実は起こっているのです。
そして、この変化は人から急かされたり、押されたりしても早めることはできません。
むしろ、「今はまだ動けない」という時期を、焦らず、でも関心をもってそばにいてくれる大人の存在が、次のステージへの“きっかけ”になるのです。
✨ 保護者にできる「段階に応じた関わり方」のヒント
- 無関心期・関心期: 無理に目標を示さず、「見守る」「興味を共有する」
- 準備期: 本人の意欲を否定せず、「できそうなことから応援する」
- 実行期・維持期: 行動を評価しすぎず、「一緒に振り返る」「戻ってもいいよ」と伝える
人は「変わりたい」と思ってすぐに変われるわけではありません。
変わる“前の段階”には、たくさんの心の準備と揺れ動きがあるのです。
「今はその途中なんだ」と捉えることができたとき、
目の前の子どもを少し違った目で見られるかもしれません。
